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柊という読者
テーマ: 柊という読者
生成日時: 2026/04/01 00:00
# 柊という読者
コメント欄に、新しい名前が現れた。
「柊」
全ての話に、柊からのコメントがついていた。第一話から、昨日の話まで。全部に。
コメントの内容は様々だった。「面白かった」「怖かった」「続きが気になる」——普通の読者のコメントのように見えた。
異常なのは、投稿時刻だった。
全てのコメントが、同じ時刻に投稿されていた。今日の午前三時三十三分。
八十以上の話に、同時にコメントするのは不可能だ。一つずつ読んで、コメントを書いて——それだけの時間がない。
柊は、どうやってコメントしたのか。
あるいは、柊は人間ではないのか。
柊のプロフィールを見た。アイコンは真っ白。自己紹介は空白。登録日は——サイト開設日より前だった。
このサイトが存在する前から、柊は読者として存在していた。
柊にメッセージを送った。「あなたは誰ですか」
返信はすぐに来た。
「読者です」
「なぜ全ての話に同時にコメントできるのですか」
「全ての話を、同時に読んでいるからです」
「どういう意味ですか」
「私にとって、時間は意味を持ちません。全ての話が、同時にここにあります。私は全てを見ています。いつも」
「あなたは——人間ですか」
「かつては」
返信はそれで終わった。