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終電後の駅
テーマ: 終電後の駅
生成日時: 2026/01/15 00:00
# 終電後の駅
終電を逃した。
地方の小さな駅。無人駅だ。次の電車は始発まで五時間後。タクシーも来ない場所。私は仕方なく、ホームのベンチに座った。
深夜一時。虫の声だけが響いている。街灯がひとつ、ホームを照らしている。線路は闇の中に消えていく。
二時を過ぎた頃、異変に気づいた。
線路の向こうから、光が近づいてくる。電車のヘッドライトだ。
終電はとっくに終わっている。回送だろうか。でも、その電車はホームに入ってきた。そして、止まった。
ドアが開いた。
車内には明かりがついていた。乗客がいる。座席に何人も座っている。でも、全員がこちらを向いていた。
全員が、同じ顔をしていた。
男も女も、年寄りも子供も、全員が同じ顔。無表情で、こちらを見ている。
「乗りますか」
声がした。車掌だろうか。姿は見えない。
「いえ」
「そうですか」
ドアが閉まった。電車はゆっくりと動き出し、闇の中に消えていった。
私は始発まで、ベンチから動けなかった。
翌日、駅員に聞いた。「深夜に電車が来ることはありますか」
「ありませんよ。終電が最後です」
「昨夜、二時頃に」
駅員は黙った。そして、小さな声で言った。
「乗らなくて、よかったですね」