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田舎の祖父母の家
テーマ: 田舎の祖父母の家
生成日時: 2026/01/14 00:00
# 田舎の祖父母の家
夏休み、十年ぶりに祖父母の家を訪れた。山間の古い民家。子供の頃、毎年来ていた場所だ。
祖母が出迎えてくれた。祖父は三年前に亡くなっている。家は記憶よりも小さく見えた。
荷物を置いて、家の中を歩き回った。懐かしい匂い。畳と、線香と、古い木の匂い。台所、居間、仏間。全部覚えている。
でも、廊下の突き当たりに、見覚えのない襖があった。
子供の頃、この廊下は行き止まりだったはずだ。壁があった。でも今、そこには襖がある。
祖母に聞いた。「あの部屋、何?」
「どの部屋?」
「廊下の奥の」
祖母は首を傾げた。「廊下の奥は壁だよ。部屋なんてない」
一緒に見に行った。廊下の突き当たり。そこには確かに壁があった。襖はない。
でも、私には見えていた。祖母の隣に立ちながら、確かに襖が見えていた。
「疲れてるんだね。早く寝なさい」
その夜、布団の中で目が覚めた。廊下から、引き戸を開ける音がした。
起き上がって、廊下を見に行った。月明かりの中、襖が少しだけ開いていた。隙間から、暗い空間が見える。
私は襖を開けた。
中には、小さな部屋があった。畳が敷いてあり、奥に古い箪笥がある。そして、部屋の中央に、誰かが座っていた。背中を向けて。
「おじいちゃん」
声が出ていた。なぜそう呼んだのか、自分でもわからない。
その人は振り返らなかった。ただ、かすかに首を動かした。そして、襖が閉まった。
翌朝、祖母に聞いた。「この家に、使っていない部屋はある?」
「ないよ。全部使ってる」
私は二度と、あの襖を探さなかった。