#0029
夜の公園
テーマ: 夜の公園
生成日時: 2026/02/07 00:00
# 夜の公園
夜遅く、近所の公園を通りかかった。
街灯が一本だけ灯っていた。その光の中に、ブランコがあった。
揺れていた。
風はない。人もいない。でも、ブランコが揺れている。前後に、規則的に。誰かが漕いでいるように。
立ち止まって見ていた。キィ、キィと、鎖が軋む音が聞こえる。
近づいてみた。ブランコの前に立った。座席は空だ。でも、揺れ続けている。
手を伸ばして、座席を掴んだ。動きが止まった。静寂。
手を離した。
ブランコは動かなかった。普通だ。誰も漕いでいないのだから、止まっているのが当然だ。
安心して、公園を出ようとした。
背後で、音がした。キィ、と一度だけ。
振り返った。ブランコが、また揺れていた。さっきより大きく。誰かが思い切り漕いでいるように。
そして、笑い声が聞こえた。子供の笑い声。どこからともなく。
私は走った。公園を出て、家まで走った。
翌日、昼間にその公園に行ってみた。ブランコは普通に止まっていた。子供たちが遊んでいた。
近所の人に聞いた。「あのブランコ、夜に勝手に動くことありませんか」
その人は顔をしかめた。「あなたも見たの?」
「見ました」
「十年前にね、あそこで子供が事故で亡くなったの。ブランコから落ちて。それ以来、夜になると——」
その人は言葉を切った。「見ない方がいいわよ。見ると、ついてくるから」
その夜から、自分の部屋で鎖の軋む音が聞こえるようになった。