#0026
友人の結婚式
テーマ: 友人の結婚式
生成日時: 2026/02/04 00:00
# 友人の結婚式
大学時代の友人、美咲の結婚式に出席した。
彼女は旧姓を柊といった。柊美咲。今日から、別の名前になる。
式は滞りなく進んだ。新郎新婦の入場、誓いの言葉、指輪の交換。美咲は幸せそうに笑っていた。
披露宴で、私は美咲と話した。「おめでとう。幸せになってね」
「ありがとう。やっと、ここまで来られた」
その言い方が、少し引っかかった。でも、深く考えなかった。
写真をたくさん撮った。美咲と二人で、グループで、新郎新婦と。美咲はずっと笑顔だった。
帰宅して、写真を見返していた時、電話が鳴った。共通の友人からだった。
「今日の式、出席した?」
「したよ」
「じゃあ、聞いた? 美咲のこと」
「何を?」
沈黙があった。そして、友人が言った。
「美咲、三日前に亡くなったんだよ」
「何を言ってるの。今日、会ったよ」
「交通事故だって。式の前日に」
「嘘でしょ。私、話したよ。写真も——」
スマートフォンを見た。写真フォルダを開いた。
今日撮った写真がある。でも、どの写真にも、美咲が映っていなかった。
新郎の横には誰もいない。グループ写真には、私の横に空間がある。まるで、誰かがいたはずの空間。
「私、確かに会った……」
電話の向こうで、友人が泣いていた。
「美咲、どうしても式を挙げたかったんだって。最後まで、柊美咲でいたかったんだって」
スマートフォンの画面が揺れた。一枚だけ、新しい写真が追加されていた。
美咲が写っていた。ウェディングドレス姿で、こちらを見て笑っている。