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エレベーターの女
テーマ: エレベーターの女
生成日時: 2026/01/11 00:00
# エレベーターの女
マンションのエレベーターに乗った。深夜一時、終電で帰ってきた私は疲れ切っていた。
七階のボタンを押す。ドアが閉まり、箱が上昇を始める。その時、視界の端に何かが映った。
振り返ると、誰もいない。エレベーターの隅には、私の影だけがある。気のせいだ。
三階を通過した。
また、視界の端。今度は左側。黒い何かが、一瞬だけ見えた気がした。首を回す。何もない。ステンレスの壁に、疲れた自分の顔が歪んで映っているだけだ。
五階。
今度ははっきりと見えた。右の隅に、誰かが立っている。白いワンピースを着た女。長い髪が顔を隠している。
心臓が止まるかと思った。でも、直接見ようとすると、そこには誰もいない。視線を逸らすと、また視界の端に白い影が現れる。
六階。
私は正面を向いたまま、動かないことにした。視界の端で、白い影がゆっくりと近づいてくるのがわかった。ペタ、と足音がした。また一歩、近づいた。
七階。ドアが開いた。
私は飛び出した。振り返らなかった。自分の部屋に駆け込み、鍵をかけた。
翌朝、管理人に聞いた。このマンションで、何かあったことはありますか。
管理人は首を傾げた。「いえ、特には。ああ、でも、エレベーターの監視カメラがよく故障するんですよね。映像が乱れたり、変な影が映ったりして」
私は、もうエレベーターに一人で乗っていない。