#0013
神社の裏山
テーマ: 神社の裏山
生成日時: 2026/01/22 00:00
# 神社の裏山
夏休み、地元の友人たちと肝試しをした。目的地は、村外れの古い神社。その裏山には、立入禁止の区域がある。
「あそこ、昔は修験者の修行場だったらしい」と、友人の健太が言った。「でも、行った人が戻ってこなくなって、閉鎖されたんだって」
誰も本気にしなかった。田舎の怪談なんて、いくらでもある。
神社に着いたのは夜の十時頃。裏山への道は、錆びた鎖で塞がれていた。「立入禁止」の看板。文字は褪せている。
「俺、行ってくるわ」
健太が鎖をくぐった。止める間もなく、暗い林の中に消えていった。
十分経った。二十分経った。健太は戻ってこない。
「探しに行こうか」
私がそう言った時、林の中から音がした。足音だ。健太だ。
暗闇から健太が出てきた。懐中電灯の光に照らされた顔は——笑っていた。
「何もなかったよ。ただの山道」
安心した。でも、何かがおかしかった。
「健太、靴」
彼の足元を見た。裸足だった。靴を履いていない。
「落としたんだよ」
笑いながら健太は言った。でも、その笑顔が、どこか作り物のように見えた。
帰り道、後ろを歩く健太の足音だけが、やけに大きく聞こえた。
翌日、健太の母親から電話があった。「健太、昨日から帰ってこないの。一緒だったでしょう?」
「帰りましたよ。一緒に」
「一緒に? 誰と?」
私は昨夜、確かに健太を家まで送った。玄関で「おやすみ」と言った。それは、間違いない。
健太は、今も見つかっていない。